34年の歴史を誇り、野菜一筋で販路を広げる
昭和53年に設立された野菜専門の組合は、茨城町と周辺市町村の農業生産者にとって安定出荷が見込める頼りになる存在です。年間を通して小松菜、ほうれん草、キャベツ、レタスなど主要21品目を取り扱う同組合は、これまで大手外食会社とも提携。近年は野菜の冷凍加工品も提供し、青果部と加工部という2本柱で販路を拡大させています。
加工食品で成長を図る
組合の代表理事の久信田清人さんは33歳という若さで、組合の先頭に立っています。そもそも久信田さんの祖父が設立した組合でしたが、その後継として2代目の代表になりました。
「当初は300人ほどの組合員がおりましたが、高齢化や代替わりなどで組合員は減少していますが、食品会社と共同でお惣菜の冷凍食品にも取り組み、生産者の意欲も上がっています」と久信田さんは話します。
同組合の工場で加工された商品は居酒屋やレストランのバイキングなどにも好評で、組合員らは頻繁に研修会で情報交換を行っています。実際に自分たちの野菜がどのように加工されて、レストランや学校給食などでどのように提供されているのか、現場の視察も欠かさないそうです。このような視察などを通して「生産者の野菜を作るイメージも変わってきている」と久信田さん。
組合員の結束で農林水産大臣賞も
取り扱い品目ごとに部会があるのも特徴です。大手食品会社との取引が増大するにつれ、安定供給が絶対の条件となります。外食大手のリンガーハットなどは産地を大切にする会社としても有名ですが、「キャベツなど出荷が始まると必ず圃場を視察に来てくれます。それだけに信頼に応えるために良い野菜を生産するための努力は欠かせません」と生産者の野菜に賭ける意気込みを感じます。
その努力の成果が平成20年に藤田専務が取り組んできたキャベツ部会が「農林水産大臣賞」を受賞するという栄誉に輝きました。キャベツ生産者にとっては日本一のお墨付きをもらったことにより、大きな励みになったのです。
後継者対策に生産法人化も
先に書いたように、組合員は減少傾向になり、高齢化も進んでいるのが日本の農業の現状です。耕作放棄地が出ないように、組合員の畑を守るという必要に迫られるように、今年7月、農業生産法人「エナファーム」を立ち上げました。
「エナファーム」では畑を借りてハウスでのミニトマト栽培にも取り組み、現場では研修生らが収穫に取り組んでいます。
組合を率いる久信田さんは都内の展示会やイベントにも積極的に参加、茨城大学との共同で商品開発なども行っています。「良い売り先を見つけて販路を確保し、安定供給を守るためににも生産法人が必要です」と、茨城農業の未来へアクセルを踏みました。
【取材録】
取材させていただいた加工場は靴の消毒や手の洗浄、さらにはエアーシャワーと厳重な衛生管理のもと、収穫された青菜が選別され、パック詰めされていました。約20人ほどが手作業で異物を取り除き、わずかなゴミも見逃さないという食の真剣勝負の迫力を感じました。東日本大震災後の風評被害は今だに消えないという茨城野菜ですが、消費者が作業する人たちが真摯に取り組む加工現場を見てくれれば、自ずと消費回復に向かうはずです。
■茨城中央園芸農業協同組合
東茨城郡茨城町小幡18-27
TEL029-292-3303
>ホームページ/http://www.ice-n.com