食事が健康を支える、その当たり前を伝えたい
今ではすっかり市民権を得た青汁ですが、なかでも東京都内の老舗百貨店や小売店の店頭に軒なみ並んでいるのが、つくば市にあるベルファームの青汁です。代表の鈴木氏が19年前に、一人でケールの栽培に着手し、今に至ります。青汁に始まったベルファームのこれまでと、未来は。
体を壊した経験からケール栽培へ
まだ青汁が一般的ではなかった20数年前。東京都内で働いていたベルファームの代表・鈴木さんは、自身を含め、暴飲暴食がたたって生活習慣病などにかかり体調を崩していく人を見て「お金じゃない、命が大切」だと気づきます。ある出会いから、健康維持に青汁がよいとの教えを受け、青汁の原料になるケールを育てて青汁を作ることを決意しました。そこで地元・茨城県へ戻り、一人でイチからでケール栽培に着手します。
創業当時から変わらぬ理念
体のために摂取するものであるから、農薬は一切使用せず、微生物の豊富な土づくりにも取り組みました。これは、20年近く経った今も変わりません。おいしいケールだからでしょう、ケールが育つ圃場には、ひらひらと多くの蝶が飛び回っていました。ベルファームの青汁のこだわりは、粉末ではなく生しぼりしたものを瞬時に冷凍して届けること。栄養価を損なうことなく長期保存するためには、さまざまな検査の結果、冷凍保存がベストでした。鈴木さんは「青汁は脳じゃなく、首から下で飲むもの」と言います。良薬口に苦し、の好例でしょうか。
青汁の格が上がった出来事
以前は、「青汁=健康食品」というのが巷の印象でしたが、11年前に通販カタログの『カタログハウス』に掲載されたときの扱いが「野菜」でした。青汁というのは通称であり、ケールを初めとした野菜を使った食品です。初めて野菜として扱ってくれたのです。受け手の印象も、その紹介文を見て変わったのでしょう、予想をはるかに上回る注文が入り、ベルファームの青汁は一気に知名度を上げることとなりました。
青汁のベルファームから生ジュースのベルファームへ
青汁に加え、6年前からにんじんジュースも販売しています。通常ケールは10月から12月にかけて収穫をし、寒さが厳しい1月から3月ごろまでは生長を止めてしまうので収穫ができません。その端境期の頃に収穫可能なのが、にんじんだというわけです。寒い中育つので、しっかりと糖度を蓄え、にんじん100%なのに驚くほどの甘さ。それ以外にも、ぶどうを使った生ジュースも開発し、平成22年には茨城県から「そのまんま生ジュース」が表彰されました。東京・六本木ヒルズ内のジュースバーでも、青汁、にんじん、ぶどうの三種類の生ジュース販売が始まりました。茨城県の素材、メロンなどでもジュースの開発を進め、鈴木流の生ジュースはとどまることを知りません。
【取材録】
取材時に鈴木さんが、何度となく「人間は自然に寄り添って生きていくものだ」と口にした、その言葉が強く脳裏に残りました。その想いのもと作られたケールやにんじんのジュースは、体が喜ぶおいしさ。鈴木さんは、農作物以外にも、人材育成にも力を入れています。多くの研修生を迎え、これまでに多くの卒業生を輩出しています。県内だけではなく、静岡県にも鈴木イズムが教え込まれた農業人がいます。「もっと多くの人が健康になるように青汁を届けたい」その、鈴木さんの想いが広まることを願ってやみません。
■農業生産法人 ベルファーム
つくば市高崎2277-34
029-876-7731
>ホームページ/http://bellfarm.co.jp/