選ぶ楽しみに、摘む楽しみ。
秋の到来を感じさせる果物のひとつ、ぶどう。多くの品種があるので、時期ごとにさまざまな品種が楽しめます。赤、緑、濃紺といった皮の色の違いから、種の有無、皮ごと食べられるものまで、さてどれを選ぼうかと悩んでしまうほど、品種の違いの差が大きい果物でもあります。品種ごとに味わいは異なりますが、総じて甘みが強く、ひと粒ほうばるだけでも口内に大きな至福をもたらしてくれます。また、夏に高温が続いたこともあり、今年のぶどうは平均して糖度が高いものになっているといいます。
県内では北部での栽培が多く、特に常陸太田市での栽培が盛んです。この地は常陸秋そばで有名な地域ですが、同時においしい果実を実らせる場所でもあるのです。昭和36年に巨峰の苗木に大きな実がなったことに端を発し、栽培が広がっていったといいます。その後、昭和43年には観光果樹園も登場し、市内では摘み取りを楽しめる場所が随所にみられます。そのほか、農業体験をすることができる果樹園もあるのです。
栽培品種は圧倒的に巨峰が多いものの、安芸クイーン、シャインマスカット、ロザリオビアンコ…と、品種は多岐に渡ります。そのほか、常陸太田市のオリジナル品種、常陸青龍が平成16年に登場。これからの広がりに期待をしたいところです。
なお、8月上旬よりハウス栽培ものが出回ることから始まります。露地栽培ものが9月に最盛期を迎え、10月上旬まで楽しむことができます。露地栽培ものを味わえるのは、わずか1ヶ月強。決して長くはない常陸太田育ちのぶどうの旬。見かけたら「また今度」では遅いかもしれません。ぶどうとの出会いも一期一会、「見かけたときが食べ時」なのです。
ちなみに、そのままぽいっとつまんで食べるのに勝る食べ方はありませんが、食べる楽しみはほかにもあります。皮ごと食べられる品種であれば、粒ごとに分けて冷凍庫へ。半解凍のところをシャリシャリとかじるのも、また一興。皮を食べられないものも、皮をむいて冷凍し、ミキサーにかけてスムージー風に、少し牛乳を足してデザートスープにしてもおいしいのです。ぶどう=そのまま食べる、だけではない楽しみ方も、ぜひ。
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