幅広い事業展開で「攻め」の農業を
1994年に法人化し、前身である五十野農園から有限会社くらぶコアへ。現在は、30品目の有機野菜を栽培し、シフォンケーキなどの加工品を製造、販売するほか、加工中に出た「野菜クズ」をボカシ堆肥の原料とし、循環型農業を実行。更に、体験農業や社会貢献事業など、事業展開は多岐に渡っています。
「農業」という産業の力を余すところなく活用し、その広がりに無限の可能性を感じさせるくらぶコア。体験農業の案内から営業活動、採用までを一手に担う、新井太陽さんに話を聞きました。
全ては有機野菜の栽培から
くらぶコアが法人化した当時、「有機野菜」と名の付く野菜が巷に広がっていました。ですが、「有機野菜」という名ばかりが先走り、その規格があやふやな状態でありました。そこで農林水産省が「有機JAS規格」を制定。くらぶコアは、有機ブランドを地域に定着すべく、パルシステムと共同し本格的な有機栽培を始めました。
くらぶコアの有機野菜は、パルシステムの野菜ボックスに合わせて作られています。野菜ボックスとは、季節の野菜を5品詰め合わせて一般家庭に届けるというもので、くらぶコアでは「利用者を飽きさせることがないように」との想いから、年間30品目の有機野菜を栽培しています。今後は、有機野菜だけでなく減農薬野菜の栽培にも着手し、消費者の選択肢を広げることを考えているようです。
注力している体験農業
現在もっとも力を注いでいるのが、体験農業です。くらぶコアの体験農業は、農場案内、収穫体験、自社で運営する交流館「ふきのとう」での料理と食事までがセットになったもので、料理に使う食材は、農場で収穫したものを使っています。始めた当初は、年間で4~5回ほどしか実施できていませんでしたが、新井さんが担当し、テコ入れをすると早々に結果が現れます。1年目で年間9組に増え、2年目となる2013年は親子連れや女性客を中心に人気を呼び、20組まで増えました。
「年間で100組受け入れるのが目標です。体験農業によって個人のファンを獲得したい」と気を吐く新井さん。体験農業用の畑も用意してあり、そこでは、ミニキャベツ、紫人参、コールラビ、コウタイサイなど、珍しい野菜を栽培しています。
「農業」と「観光」を「体験」という要素で見事に結び付けています。
「農業土木」で社会貢献
社会問題になっている耕作放棄地の増加ですが、くらぶコアではその問題解消にも取り組んでいます。耕作放棄地を開墾し、ひまわりや大麦を植え、放棄されて痩せこけた土壌を肥やしているのです。耕作放棄地で作られたひまわりや大麦は、それぞれひまわり油、シフォンケーキとして加工し、販売もしています。ここでも、きちんと「循環」させています。
くらぶコアが彩る未来の農業
「6次産業というと、すぐに『商品化』という考えになってしまいがち。でも、そうじゃないと思うんです。農業はあらゆる業種に関連していて、その関連した業種に飛び込んでいける。そう考えると、縦横無尽ですよね」イキイキとした表情で話す新井さんの言葉からは、農業の秘めた可能性が感じられます。
【取材録】
対応してくれた新井太陽さんの話には、人を引き込む力があるように感じました。話を聞いていると、楽しい気持ちになり、新しいことにチャレンジしたくなってしまうのです。その理由は、新井さんが楽しそうに話すから。何でもできるように話すから。新井さんの熱意が込められた言葉に、今までも多くの人が心を動かされたようです。そして、たぶんこれからも。私がその一人であるように。
■有限会社くらぶコア
行方市次木580-1
0291-35-3149
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