茨城の若手農家が集結。農業イメージの一新を企てる!
茨城で就農する若手農業者たちによって2004年に産声を上げた「カルティベイト」は、県内約50人の会員抱える農業グループです。単なる情報交換の場所としてではなく、農業イベントやそれぞれが栽培する農作物の直売、異業種とのコラボ、就農支援など若手ならではの柔軟な発想とチャレンジ精神で茨城農業の未来を切り開こうとしています。
若手農業者の飲み会からスタート
代表を務める鈴木泰幸さんは鯉渕学園を卒業後、大手資材販売会社へ就職。その後、2002年に実家に入り、就農しますが「周りには若い人がいなくて、仲間を求めていろんな場所に顔を出した」と仲間捜しがこの団体の出発点となりました。やがて同じ年代の就農者を飲み会へ誘い「同じ悩みを抱えている」現実を実感。7人の仲間とともに「カルティベイト」を立ち上げたのです。
広がるグループの輪
自分たちの生産物を都内で販売しようと、飛び込みで販売ルート開拓に勉め、イベントなどを開催することにこぎ着けます。青山、下北沢、自由が丘、東京ミッドタウンなどセレブが集まる街を中心に定期的にマルシェを開催、茨城の農産物のPRに尽力します。仲間たちで調達できる野菜は150種類にも及び、有機栽培や無農薬栽培の野菜を提供。都内のアンテナの高い主婦層の関心を集め、自由が丘で開いた朝市では、開店前から買い物客が並び、わずか30分で完売するほどの人気となりました。
農業の将来を見据えた活動
月に1度は何かしらイベントを開催、2か月に一度行っているのがが「異業種交流会」です。農業以外の人を招いて、交流することで新たなコラボレーションが誕生することもあります。都内の野菜ソムリエや栄養士などの女性グループFappys(ファッピーズ)とは料理教室や農業体験イベントでの食事のサービスなどをコラボ。新規就農を目指す人たちに少しでもハードルを下げようと、就農者対策の補助金関係の研修会なども実施しています。
新会社「ファーマーズ・ジャパン」の立ち上げ
「茨城農業の活性化」も理念に掲げる「カルティベイト」は2010年4月に株式会社「ファーマーズ・ジャパン」も設立しました。生産した米や野菜を直接、消費者へ届けるための「旬の無農薬・減農薬の野菜BOX」の販売や味覚狩りではない「農業体験」のイベントの開催など若手農業者ならではの発想で、新たな事業展開を見据えています。仲間たちの野菜を集め、消費者へ届けるばかりではなく、つくば市内のイタリア料理店などは週に1度は直接買い付けに来ているほど、口コミでの顧客が広がっています。
また、栽培サポート型の貸し農園「ガーデンファームプロジェクト」も始動し始めます。都内の人を対象にした食物を育て、食べることで農業の楽しさを知ってもらおうという試みです。従来の農業という固定観念から脱却を目指す若者たちは歩みを止めていません。
【取材録】
若手農業者らの熱い意欲は、茨城農業の未来を照らす光明です。一人だけではなしえないことも志を同じくする仲間がいることで、高いハードルを越えることの原動力にもなります。代表の鈴木さんとその仲間が目指すのは「かっこいい農業」。20代、30代が中心となるこの「カルティベイト」の活動は、既存の公的団体にない新たな農業革命なのかもしれません。TPP問題に直面する日本の農業界に、生き残りの方策を示しているようです。
■株式会社ファーマーズ・ジャパン
茨城県石岡市井関1132
>ホームページ http://www.cultivate-fj.com/
>ブログ http://ameblo.jp/fappys/