100年の歴史を誇る笠間の栗
日本一の栗の産地が茨城であることはあまり知られていない。特に産地として名高い岩間・笠間・友部地区では、新市誕生により新たな生産体制のスタートを切った。その笠間地区の栗にかかわる人々が「笠間の栗を考える会」を立ち上げ、日本一を目指しているという。今回は生産者の立場から金子祥一さん、長谷川ひろ子さん、加工業者の小田喜保彦さん、行政から笠間地域農業改良普及センターの唐澤友洋さん、笠間市農政課の竹江美佐夫さんにそれぞれの立場からお話を伺いました。
ー笠間の栗の歴史からお伺いします。
金子さん かつての養蚕の桑畑に栗の木を植えたのが盛んになった始まりです。昭和に入ってからで、およそ100年の歴史があります。栗を庭先で販売する方法も戦前からありました。さらに松くい虫などの影響もあり、栗栽培が特に盛んになりました。
鮮度が命の栗、生産の陰には重労働が
ー栗の生産の現状をお聞かせ下さい。
金子さん 農協の栗部会長をやっていますが、現在270人で175トンを出荷しています。昔からの品種もありますが、およそ15種類くらいでしょうか。栗面積は一番広いと思います。しかし、品種によっては仲買人に売っているところが多いのが現状です。
長谷川さん 栗のピークはたった2週間ほどです。その間に収穫しなければならず、重労働です。機械で収穫できるものではなく、落ちるのを待たなければなりません。栗畑も離れたところにあると大変です。家族労働で難しさもありますね。
金子 一時は大きい栗が好まれる傾向にありましたが、現在は大きい栗からうまい栗へと嗜好が変わっています。早生を植えたりして生産者も努力していますが、開花時期の天候に左右されることも多いですね。
栗の新しい保存方法を確立
ー収穫した栗も保存方法も変わりましたね。
ー市町合併により生産体制も変わったのではないでしょうか。
日本一の意識の浸透を図るのが課題
ー笠間の栗は日本一だと思いますが、将来の展望と抱負をお聞かせ下さい。
小田喜さん インターネット販売などをしていてもやっぱり一番売れるのは生栗です。低温熟成などの技術も発達してきており、日本一のブランド化を目指したい。外の人を招いて地元で消費させるといったことで、産地としての意識付けを一般の人にも浸透させたいですね。
金子さん 栗部会としては1円でも高く売りたいというのはありますが、加工品も扱っていきたい。栗ビールやリキュールなども試作しています。
【取材録】
■出席者
株式会社小田喜商店 代表取締役・小田喜保彦さん
>「小田喜商店」ホームページ http://www.kurihiko.com/
生産者・金子祥一さん
生産者・長谷川ひろ子さん
笠間地域農業改良普及センター・唐澤友洋さん
笠間市農政課・竹江美佐夫さん
>「笠間市農政課」ホームページ http://www.city.kasama.lg.jp/