日本一のブランドを目指して
今回は、茨城が誇るブランド牛「常陸牛」について、生産者の橋本畜産社長・橋本武二さん、販売の立場から「肉のイイジマ」代表取締役・飯島哲朗さん、茨城県常陸牛振興協会の大槻敏之さんにお越しいただき、異なる立場でその振興に取り組む3人の方々と座談会を行いました。
技術力では最高レベルの生産現場
ー最初に常陸牛のこれまでの歩みについてそれぞれお伺います。
大槻さん 30年ほど前は「常陸牛って何ですか?」と言われたものです。でも20年ほど前から知名度も徐々に上がっており、年々生産も増えてきています。
飯島さん 私の場合料理店もやっていますが、いいものを生産してもらって、いかに小売店が販売するかということです。現在はネット販売をやっていますが、ネットでの反応はいいですよ。販売方法も変わって、常陸牛の知名度も上がってきています。
味でもナンバー1の評価を受ける
ー常陸牛の評価は年々上がっているのですね。
大槻さん 出席されているお二人は生産者と販売者の代表的な方ですので、牛のことは一番分かっています。先日、全国の牛のアンケートで無記名で投票してもらった結果、常陸牛が一番でした。帝国ホテルなどでも常陸牛を使っていて、生産者の技術は高いと評価されています。鹿児島の方が来て「茨城は全国でも群を抜いている」と驚いていました。
ー技術、味ともに高いレベルにあり、もっと多くの人々にその良さを知ってもらいたいですね。
橋本さん 常陸牛は頭数が多いということで名前を知られないという点もあるかと思います。松坂牛、前沢牛、米沢牛などは頭数が少ないので、希少価値から評価が高まってしまう。常陸牛はいつでもどこでも仕入れることができることがメリットでもありデメリットでもあるのです。
飯島さん レストランを30年やっていますが、毎年10万人以上が食してくれています。レストランで一番売れるのは3000円から5000円ぐらいです。肉の販売では切り落としで1000円以下です。高ければ良いというものでもないんです。
橋本さん 生産者としては365日休みなしの労働で少しでも高く売りたいとは思いますが、すべてが常陸牛となるのではないのです。健康で脂質が口の中に残らないものを目指しています。また、同じ常陸牛でも高いのと安いのとばらつきがあってはいけません。ただ、消費者が高くて手が届かないというのでは困ります。
ーお客様はどのような牛肉を望んでいるのですか。
飯島さん BSEの問題が出たときに、うちは売り上げは落ち込みませんでした。輸入を扱っていないということもありましたが、常陸牛はきちんとやっているというのが分かっている。安心して買えるものは落ち込まない。また、厚みのあるほうが好まれます。薄いと焼き肉と間違われてしまいますし、うちではおいしいところの余りはサイコロにするなど工夫しています。
ーこれから常陸牛をどのようにアピールしていけばよいと思っていますか?
橋本さん 毎日食べる必要はないけれど、年に何回か記念日などに食べていただきたい。茨城の牛肉の消費量は全国で37番目で、まだまだ、消費を伸ばせます。本物を食べていただければ舌は覚えてくれます。生産者もサシは少なくても脂質を良くしていく努力をしていますので、食べる機会を増やすのが大切では。
飯島さん 県内の観光地のホテルなどで使っていただくのも良い方法ですね。大洗ではほとんどのホテルで使ってもらっています。また、小売店もただ売るだけじゃなくて料理の提案も必要です。部位を理解してもらい、それに合った食べ方のアドバイスなども行いファンというより「信者」を作ることですね。せっかくおいしい肉を買っても調理の仕方が悪いのではどうしようもない。
大槻さん 私たちは茨城の「コシヒカリ」「メロン」「常陸牛」を3本柱にしてPRしております。常陸牛を生産者もお店も財産ととらえてもらえればと思います。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
【取材録】
■出席者(写真左から)
株式会社イイジマ代表取締役 飯島哲朗さん
>「イイジマ」ホームページ http://www.nikunoiijima.co.jp/
橋本畜産株式会社・有限会社トキワフーズ 代表取締役 橋本武二さん
>>「橋本畜産」ホームページ http://www.hashimoto-beef.co.jp/
茨城県常陸牛振興協会 大槻敏之さん
>茨城県常陸牛振興協会ホームページ http://ibaraki.lin.gr.jp/hitachigyuu.html