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マッシュルームを指名買い。

 松茸や椎茸を除いて、きのこを特定のブランドや農家を選んで買う人は、そうそういないかもしれません。しかも、それがマッシュルームときたら「マッシュルームにブランドなんてあるの?」と思う人も多いでしょう。ですが、多くの人に「また美浦村のものが食べたい」と言わしめるマッシュルームがあるのです。

 美浦村は、言わずと知れた日本一の規模を誇る、日本中央競馬会のトレーニングセンター保有の地。同センターができたのが昭和54年。近隣でマッシュルームの生産が始まったのは昭和57年。あまりにも近いこの年度。ただの偶然ではありません。厩舎から大量に出される敷わらを有効活用したのがマッシュルーム栽培です。この敷きわらこそが、おいしいマッシュルーム作りには欠かせないそう。排出された敷わらをコンポストセンターで水と鶏糞、石灰を混ぜて堆肥を作ります。この堆肥を使って培地を作り、マッシュルームの種菌を接種して栽培を行うのです。

 そして軸の下はなんと土つき。土を取らずに、そのまま出荷されています。一見驚くものの、ひとくち食べれば、あぁなるほどと気づくはず。土つきのまま出荷することで鮮度を長く保つことができ、香りや歯ごたえも強く“食べた”という充足感に満たされます。買ったらまず試したいのは生で食べること。生食は鮮度のよいマッシュルームだけの特権です。レモン果汁をきゅっとしぼれば、ホワイト種の肌の白さもよりキープ。これで、マリネやサラダを作ると、それだけでごちそうになります。ちなみにホワイト種とブラウン種があり、栽培されている多くがホワイトです。ブラウンは栽培が難しいため、手に入れられたらラッキーだとか。

 コリッ、と音が聞こえてきそうなほどの歯切れのよさ。マッシュルーム独特の香りもふわり。マッシュルームって、こんなにも存在感のあるきのこだったのですね。

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