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HOMESPECIAL > 茨城ならではの個性を産み出す新しい波

 発端は国の推進する農商工連携人材育成事業でした。ブライダル関係の仕事をする山本恵さんは日ごろから、婚礼の引き出物に茨城の物を出すことができないかーと考えていました。その一方、デザイナーの倉田稔之さんは「茨城には良い物がたくさんあるのに」と全国に発信することのできないもどかしさを感じていました。また金融機関に勤める神立裕之さんは茨城農業を支援するために何かできないかと模索していました。
 この3人が出会い、2年ほど前に国の事業をきっかけにスクラムを組んでスタートしたのが「アルベトレッペ」といニューウエーブです。
 茨城の良いモノやコトを全国へ、世界へと紹介していく一種の県民運動としてのプロジェクトグループ「アルベトレッペ」が産声をあげたのです。

 

今までと違う豊かな暮らしがあるべ。いい方法とれっぺ

 ネーミングからして茨城らしさを押し出した団体ですが、その基本にあるのは茨城の商品を売り出すのではなくその精神、考え方であると、倉田さんは言います。「トヨタにレクサスがあるが、あれは誰がみてもトヨタが作っていると分かる。でも同じ論法で、茨城何とかじゃなくて、精神を軸にしてそれぞれの考え方を広めれば良いのです」と言います。
 茨城らしさの名前を全面に出す「納豆」「うまいもんどころ」や「黄門マルシェ」などとは違った別の切り口で、表現することが大事。「若い人は誰も知らない水戸黄門さまに頼るべきではない」と口をそろえます。

今までの流通とは違うやり方あるべ。いい対策とれっぺ 

 アルベトレッペは意識革命の半面、仕事創出の場所でもあります。「素材が良ければ売れる」と勘違いしている農業者も多いと指摘。さらに「おもてなしの心もなく、県外へ持っていくお土産もない」と現状を分析しています。
 そのため新たな商品開発や流通の仕組みも構築しようと今秋「アルベトレッペ食堂」を企画。農業生産者、レストランなどを経営する料理人、そこにデザイナーが加わりチームを結成。生産者と消費者を結びつける食のイベントを開催しました。

 

幅広い道があるべ。少しは時間とれっぺ

 アルベトレッペは情報交換のサロンの開催、広報誌の発行、商品開発・販売支援、生産者と消費者のマッチング、イベント開催-などさまざまな事業展開を計画しています。Mー1グランプリなどを主催するアルベトレッペ理事でイベント部会長ハチバスの菊池一俊さんは「僕たちの思いを具現化してくれる場所です。社会的な責任まで感じてしまうグループです」と話します。
 今年11月6日に水戸市南町自由広場で開催された「アルベトレッペ食堂」のイベントは、プロの料理人に加えアマチュアの学生たちも参加。当日はあいにくの空模様でしたが、多くの市民が参加。当日券が売りきれるほどの人気イベントとなりました。
 新しいメニューを作り出した料理人たちや裏方のスタッフたちは、料理の腕を競うというより、同じ方向性をもったイベントに参加するという共通意識にあふれていました。
 熱い情熱を持ち続ける異業種がスクラムを組んだ団体。参加するメンバーは農家や会社経営者、クリエーター、市会議員、大学教授、主婦や一般市民などさまざま人々で、まさに多種多彩。中心メンバーである倉田さんは「無印良品の茨城版の商品群を作りたい」と言います。挑戦ではなく、やむにやまれぬ自発的な思いからスタートした個性の集団がどうのような広がりを持っていくのか、目を離せません。

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