いばらきの生産者

HOMETOPICSTOPICS01 > しづはら農園

水戸の地に就農して2年目の若き農園経営者がいます。共に県外出身者ですが、新規就農者として旧内原町の現在地で独立を果たし、真摯に農業に向き合っています。夫婦二人で日々、作付けや収穫に励み、「美味しい」野菜の生産に取り組んでいます。そのような「しづはら農園」の経営姿勢は、新規就農者ばかりではなく、後継者問題に悩む農家への良き指針となりそうです。

農地・自宅とも借地・借家からスタート

-そもそも、原田さんたちが就農するきっかけとなったのはどのような理由でしょう。

原田さん 自分は福岡県出身で、妻は東京の出身です。私はそれまで山梨県の農業法人で働いていて、それから鯉渕学園の准職員という研修生として、1年間この周辺の農家さんのもとで学びました。独立するにあたり、借家や農地も見つかり、2年前に独立就農することができました。現在は自宅近くの農地約2.3ヘクタールを借りて、土もの中心に有機栽培で野菜を育てています。

個人向け宅配と生協への出荷がメーン

-現在はどのような農業経営をされているのですか?

原田さん 生産した野菜の半分は個人向けの宅配で、その他パルシステムの店舗さんにも出荷しています。また、特約しているレストラン等数件、さらに、このほど出来た水戸の「みずほの村市場」の直売所へも出荷しています。年間50品目を生産しており、宅配では週1、隔週1、月1配送などに対応しています。宅配は10品目前後の詰め合わせで、MサイズとLサイズの2種類を用意しています。

 

顧客からの直接の反応を聞く姿勢を保つ

-農業経営者としてどのような目標をお持ちなのでしょう。

原田さん 商品を守りたいというのが基本です。私たちは顔の見える、お客さまの反応がみえる商品を売っていきたいので、野菜そのものの質の向上はもちろんその野菜のおすすめの調理法なども提案していきたいと思っています。大きな組織では出来にくいような、直販ならではの細やかなサービスをしていきたいです。

風評被害に焦ることなく、地元に立脚する

-東日本大震災の影響はいかがでしたか?

原田さん やはり風評被害で、茨城県産野菜は避けて通るようなことがありました。震災後は都内での新規開拓のための営業などは減らし、従来のお客さまと、地元での繋がりを深め、よりよい品物を提供し続けられるよう心掛けました。都内でイベントなどをやってあせって売ろうとするのではなく、今のうちにうちの農園として勝負できる野菜を生産するのが大切だと感じます。単作でスーパーや市場出しをするのは大規模な農家や法人でできますが、うちは品質と味で勝負していきたいです。

昔の品種も栽培、恵まれた風土を生かす試みも

-しづはら農園の将来のビジョンはどのようなものですか?

原田さん 世界をみても、日本の野菜はとても美味しいのです。日本人ならではの自然感や宗教感があり、素材を大切にする食文化があります。かつて美味しいのに作られなくなった野菜もあります。今栽培しているなかに「うきしまダイコン」という茨城特産の野菜もあります。そんな品種にも光を当てていきたい。手間とコストも掛かりますが、「しづはら農園」の名前と品質そして信頼を築き上げて、ブランドとして差別化していきたいですね。

 

 

【取材録】

 新規就農者の原田さん夫妻は「昔からの農家とは勝負しなくてよい」と言い切ります。スーパーや市場に生産物を出荷することなく独自の経営方針で、農業を職業として成り立たせていく決意の表れでもあります。畑の片隅には可愛いベンチがあり、夫婦の作業の合間のくつろぎの空間があり、農道の路傍には昔ながらの石仏がご夫妻の姿を見つめていました。新しい農家のスタイルを模索するお二人が未来を担う日本農業の牽引者となることを願う光景です。
>ホームページ http://shizuharafarm.com/

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