いばらきの生産者

HOMETOPICSTOPICS01 > JA茨城みどり

 那珂川の清流を緩やかな山並みが包み込むよう地形を見せる常陸大宮市の旧御前山村。栃木県茂木町と境を接する所に疋田正雄さんのアスパラガスの農園がありました。自宅前の畑に植えられたアスパラガスは「奥久慈アスパラ」として新たな茨城ブランドの確立を目指しています。ゆでても煮ても焼いても揚げても美味しいアスパラガスの生産現場を見せていただきました。

退職後の仕事としてアスパラ栽培

-疋田さんはいつからアスパラガスの栽培を始めたのですか?

疋田さん 私は退職するまで郵便局で働いていました。それまで他の人に畑を貸していて、そこではゴボウを栽培していました。その畑を返されてしまい、何か作ろうかと考えていたときにJAから「アスパラを作ってみたら」と言われ、栽培を始めました。それは平成17年で、栽培を始めて7年目を迎えます。米も作っていたのですが、野菜栽培を始めたのは退職後からなんですよ。

-アスパラガス栽培は茨城ではあまり聞かないのですが。

疋田さん この辺では作っているところは少なかったですね。作り方もまちまちでした。アスパラガスは寒暖の差が大きいところが栽培に向いていて、その辺はちょっとこの土地には合わないのかもしれませんが、意外に労力が掛からず栽培しやすい作物だと思います。

疋田さん流栽培技術を確立

-栽培にはどのような配慮が必要ですか?

疋田さん アスパラガスは93%は水分でできています。そのため水が欠かせません。うちの畑は水分を多く含んでいます。とはいっても雨には弱いのです。水が掛かると病気が発生します。そのためうちではビニールで雨よけを作り、雨水が畝のところに行くように工夫しました。でも根腐れも起こしてはいけない。そのあたりの加減が栽培技術でしょうか。

-害虫対策はどのようにしているのでしょう。

疋田さん 害虫を寄せ付けるために、ペットボトルに焼酎や砂糖、桃の缶詰のシロップなどをブレンドした特製の虫寄せを作っています。市販の防虫機もありますが、自分なりに考えたりして栽培するのが楽しいですね。まあ、好きだからいろいろ考えて対策を施しています。

一株10年、別名は「畑の豚」

-年間の栽培サイクルはどのようなものですか?

疋田さん 収穫時期は4月から9月です。一般的に4~5月ごろの春芽が美味しいと言われています。一株で約10年は収穫できるのです。芽が出て3日目で大体25センチほどになったら収穫します。収穫したアスパラガスは全量JAに出荷しています。JAでは各農家から集まったアスパラガスを選別してパッケージにしてくれるので、個人の農家は出荷するだけで楽ですね。

-肥料はどのようなものを。

疋田さん アスパラガスは別名「畑の豚」と呼ばれるように、たくさんの肥料を必要とします。うちでは年間15アールの畑に14トンの肥料を入れます。10アールあれば10トンは必要とします。特に牛糞の肥料を用いますが、今年は原発被害で牛糞たい肥の出荷が制限されていて心配ですね。

-薬剤は使わないのですか?

疋田さん もちろんカメムシ対策などのために2~3週間に一度薬剤散布を行います。薬剤使用には厳しい条件がありますので、きちんと管理しています。10年ほど前から大子地区などでアスパラ栽培がブームになったのですが、病気を出してしまって「儲からない」と辞めてしまった農家が多かったのです。きちんとした追肥と防虫対策ができなかったのでしょう。

ブランド化への自信と展望

-奥久慈アスパラとしてブランド化できると良いですね。

疋田さん 安定的に出荷しているのはうちだけという自信があります。福島県の会津田島などは一大生産地となっていて、収量では負けてしまいますが、茨城にも素晴らしいアスパラガスがあります。今はさまざまな調理方法もあります。ぜひ、多くの人に「奥久慈アスパラ」の良さを知ってもらいたいですね。

-農業の将来展望は。

疋田さん やはり後継者問題が課題ですね。その点アスパラガスは私のように退職後でも栽培可能です。会社勤めを終えても農業は工夫次第で取り組むことができます。私はアスパラガス以外にもナス作りに挑戦しています。まだ試験的な状態ですが、農業は楽しいものです。

【取材録】

 疋田正雄さんは郵便局へ入局以来、転勤族として県内はもとより栃木県にまで勤務経験があります。最後は自宅から大洗まで通ったというバイタリティーあふれる人柄です。取材後、奥様が作ってくれたアスパラガスの数々の手料理が、この野菜の魅力を一層引き出してくれました。機会があればぜひ「奥久慈アスパラ」の味を楽しんで下さい。

ページの先頭へ

手軽にプロモーションサイトを作る

いばらきの生産者

鬼澤食菌センター
鬼澤宏さん
DATE 2023.09.25
大場農園
大場克利さん
DATE 2023.06.30
山一ファーム
石田和徳さん
DATE 2023.05.25
箕輪農園
箕輪竜さん
DATE 2023.05.18
> 生産者の地域

> 過去の情報 

特集

未来農業報告書

いばらき野菜地図

食と農のデザイン